ちく ちく
ちく ちく ちく
引っかけて 引き抜いて
引っかけて 引き抜いて
お手本どおりの完成形にたどり着いた方が少数派、、、という編み物の会。
しあわせなことに、出来上がった「形」は、難波さんの詩に、名前を与えてもらうことができました。
不器用を克服することを目的としているわけではなかったのですが、それにしても、最初の一手「指に毛糸をかけて、最初の輪っかに、最初の立ち上がりの目を作る」ことに難渋しました。指が、手が、そして毛糸が、思うように動いてくれないし、止まってくれない。
乗り越えたら越えたで、次は「目を数える」という難所が現れました。
さらには「新しい段を立ち上げる」壁が目の前に。
このあたりを境に、不器用を克服するつもりのないメンバーから、ある言葉が漏れ始めます。
「まあ、いいや」
会の中盤、この言葉が元気に増殖。参加者の名誉のために付け加えると、この言葉を発することなく、目をきちんと数えて、段を立ち上げた根気づよいメンバーも当然いました。
「まあ いいや」「まあ いいか」に甘えながら、救われながら、手を止めることなく編み続ける参加者の皆さん。カップの中のお茶が冷えていきます。編み物の醍醐味は、手が止まらなくなることかもしれません。思うように動いているかどうかは別として。
「ちくちく 引っかけて 引き抜いて」「みんなそれぞれの 形が」できていきます。
結果、予期せぬ形が、人の数だけできました。
お手本どおりにできた人も、できなかった人も、「できた できた」と嬉しかったのはなぜなんでしょう。不思議と、他の人の作品にも謎の愛情を感じてしまいました。
進行役のフジタマユさんが、今回の企画に込めた思いは
何か新しく一歩を踏み出そうと思ったときに
引っ込み思案で、どうしても後ろに下がってしまう人が
ちょっとひとがんばりしてみよう
と思えるような場を作りたい
というものでした。
フジタさん自身にとっても、人生初のワークショップ主催ということで、実施前にはたくさんの編み図を書いては直し、書けない、と悩んでおられたり。
ワークのあいだ、何度でも根気よく丁寧に、質問や弱音に付き合ってくださって、ひとつひとつのプロセスを一緒に歩いてくださいました。
編み目には個性があふれてしまいます。
やさしく柔らかい目、
立体的にひらひらとゴウジャスなたたずまいを湛える目、
土器を思わせる不思議な吸引力のある謎の広がりを持つ目、
力いっぱい引きちぎりながら編み締めた隙間のない目、、、、、
編み目と編み目が当然つながって、「形」が生まれました。
その形を、みんなで作ったこの時間が幸福であったと、感じます。
器用、不器用とは関係なく、自由に形を作ることが、できました。
毛糸を触りたいと思える気候のうちに、次の会をしたいものです。
また、「それぞれの形」を作りましょう。
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フジタさんの「自己紹介のような」個展は15日に始まります。
【開催期間】
2020/2/15(土)~2/23(日)
【時間】
月曜~金曜 13時~20時
土曜・日曜 12時~19時
【会場】
pieni.. ecole + cafe
岡山市北区出石町1-8-1 1F
pieniecole.jimdo.com
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「ヨノナカ実習室」
調理実習、木工実習のように、
対話や表現や交流の実習活動のためのスペース
オープンの時間は不定期ですので、
イベント以外でお越しの際は、事前にメールでご連絡ください。
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〒700-0807 岡山市北区南方二丁目9の7
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