今日降りし
雪に競ひて(きほひて)
我がやどの
冬木の梅は
花咲きにけり
大伴宿祢家持『萬葉集』巻八・1649
雪を梅の花に見立てた歌である。
「今日降った雪に負けまいとして、
我が家の冬木の梅は、
まっ白な花を咲かせた。」の意。
萬葉集の「冬木」は、
葉も花もつけていない冬枯れの木をいうので、
家持の歌の中では、梅は咲いていない。
見えないものを、見る力が、
歌という表現で発揮される。
たしかなものとは、なんだろう
言葉がひどい目に遭わされていると感じて、
つらくなることが増えた
古典の言葉や、詩の言葉、歌の言葉を
改めて読み直す時間を大切にすると
よいかもしれないと思い、
このような形で提示することにした