ヨノナカ実習室 実習予告と記録

調理実習や木工実習のように、対話や表現や交流の実習を行う場所「ヨノナカ実習室」の、実習予定や記録をお知らせするページです

「建物楽譜」その②

五人囃子、太鼓率が高い。なぜだ。
太鼓の古い歌。

 

 この御酒(みき)を 醸(か)みけむ人は
 その鼓 臼に立てて
 歌ひつつ 醸みけれかも
 舞ひつつ 醸みけれかも
 この御酒の 御酒の あやに甚楽し
   ささ

 此は、酒楽之歌なり。


この御酒を醸した人は
鼓を臼のように立てて
歌いながら、踊りながら
醸したからであろうか
この御酒は出来ばえがよく
たいへん気持ちがよい
いや栄、いや栄
    
    『古代歌謡全注釈』土橋寛による

 

太鼓をさかのぼれば当然、古代歌謡とは思ったが、ここにたどり着いてしまった。
うまい酒は、タイコで醸されるようだ。

 


二日間、アフリカの太鼓を抱え込んで過ごした。
皮を打ち続けた右手ではなく、太鼓を抱えていた左腕に筋肉痛が残った。なんせ、いろんな叩き方をして、いろんな音が出たり出なかったりして、目の前に現れる多彩な「楽譜」を、自分勝手に読み取って、とにかく叩く。弱く叩いてみたり、なでさすってみたり、お囃子のまねごとをしてみたりしている間じゅう、アフリカの太鼓を抱え込んでいる。
昼間見た柴犬の子どももかわいかったが、しかしあいつよりも、既に愛おしい。

 

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 第一楽章「水底」
ピロティで煉瓦のヘリンボーンを自在に遊ぶ山口佳子さん、その身体を楽譜に、皆で遊び寒さを忘れる。スリットドラムの音色がずっとずっと聞こえている。

 

 第二楽章「鳥柱」
鳥柱を楽譜に赤い光の指揮に合わせて、これまた皆たのしく遊ぶ。取材に来ていた記者の方も、楽譜になる。

 

 第三楽章「TELU」
無法地帯。館内を広く動き回る。曲がり角の向こうから、闇の奥から、音が飛び出してくる。太鼓を叩く右手が痛くなり、いろんな叩き方をする。いろんな音が聞こえる。

 

 第四楽章「成層圏ブルース」
2階ロビーに車座になる。空がないのに、空の高さを感じる天井の成層圏ブルーが楽譜。これはちょっと、人が聞けばうらやましがるだろう時間だった。終わるのがさみしかった。

 


ワークショップの最後に、その太鼓の名前が

「トーキング・ドラム」だと聞いたときの喜びは、

ちょっと、ここ最近ないほど、喜びだった。

 

だからといって、巧みな演奏を披露したわけでもなければ、秘められていたリズム感が開花したわけでもない。

 

確実に言えるのは、ワークショップ後のお酒が、たいへんにおいしく気持ちのよいものであった、ということだ。


ワークショップの様子は、2月24日(月)18:10頃から、
RSKラジオ「おかやまニュースの時間」にて放送予定とのこと

 

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