ヨノナカ実習室 実習予告と記録

調理実習や木工実習のように、対話や表現や交流の実習を行う場所「ヨノナカ実習室」の、実習予定や記録をお知らせするページです

パブリックコメント作成会 報告②

「標榜」とは、

善行を記した札を門前に掲げる意から、

主義・主張などを公然と掲げることを意味する。

 

この言葉が実を伴うものであるためには、いわゆる「不断の努力」が不可欠であると私は認識している。

 

人間は「もしも」と想像することが出来て、目の前にないものを言葉で表すことが出来る。すごいことだと思う。しかし「不断の努力」は容易ではない。怠け者の自分に、矢が突き刺さる。

 

 

さて

四月に松川えりさん(てつがくやさん)と協力して、パブリックコメント岡山市に提出したわけですが、

yononaka-jsh.hatenablog.com

 

「パートナーシップ宣誓制度」へのパブコメの結果が、岡山市のHPにアップされていました。

コロナ対応で本当に慌ただしい中、こういう通常の対応も市役所は行っており、緊急時の行政は特に激務だと痛感する。

だからこそ、これは是非、みなさんに見ていただきたい。

www.city.okayama.jp

 

「寄せられた意見」として16項目が挙げられており、我々が提出したものは、この中の「1」「4」「7」「8」です。

 

岡山市の内部規定である要綱に基づく制度である」

「法的な効力はない」

「二人を応援する」

「〇〇の実現を目指す」

 

今はプロセスにあるのだと、希望的受け止めをしてみる所から始めようと、今は思っています。我々が「標榜」している社会のありようは共通しています。

 

「性的マイノリティの方の

 生きづらさや不安を軽減し

 自分らしく安心して暮らせるようにすることで

 性的マイノリティの方への差別や偏見の解消

 社会的な理解の促進につなげ

 多様性が尊重された社会の実現」

「誰もが個性と能力を発揮できる人権尊重の社会づくり」

 

ふわっとした耳ざわりのよい言葉を看板に掲げるだけではなく、具体的な手続き・実効性が必要であると、やはり思わずにいられません。

さて、どうしましょう。

「不断の努力」は、こんなときに耳元でささやいてきます。

耳を傾け、ひとつずつ、また、考えていきましょう。

 

皆さんも、一緒にやってみませんか?

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以下、提出した内容です。こういう意味なんだけどなあ、という伝わってない感じのする項目タイトルが、太字やカラフルな文字になってしまいました。

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岡山市パートナーシップ宣誓制度」の考え方(案)への意見       2020.04.09

HP掲載の「『岡山市パートナーシップ宣誓制度』の考え方(案)」を拝見し、「誰もが個性と能力を発揮できる人権尊重の社会づくり」を目指す観点から検討しました。他の自治体のパートナーシップ制度を参考にしつつ、より実用的な制度となるよう、以下のとおり提案します。

 

① 制度の利用先
岡山市の管轄する施設・サービスについては戸籍上の夫婦と同様の対応を行うこと。具体的には、岡山市営住宅(世帯用)への申込み、市民病院での医療同意や付き添い、学校や教育施設、福祉施設等での保護者手続きなどの場面で、夫婦として手続きや届け出を、市の管轄する施設・住民サービスの全てについて認めるべきである。
漠然と周知・啓発をするだけで市が具体的な行動を示さなければ、制度が形骸化する恐れがある。法的な効力をもたせることはできないにしても、自治体としてできることは可能な限り実現していくべきである。

【参考】いばらきパートナーシップ宣誓制度の受領証等の利用先
https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/fukushi/jinken/documents/20191219riyousaki.pdf

 

② 制度、交付書類の名称
制度、交付書類の名称は「パートナー登録制度」、「パートナー登録証明書」とすべきである。
世田谷区に倣って多くの自治体が「パートナーシップ宣誓制度」「パートナーシップ宣誓書受領証」という名称を採用しているが、この名称は不適切である。まず、「パートナーシップ」という抽象的な概念ではなく、二人の関係が明確に示される「パートナー」を使うべきである。また、この制度の肝は「第三者が二人の関係を確認したうえで公的に認める」という点にあるが、「受領」は「本人が誠意を誓うこと」を、「受領」は単に「受け取った」ということを表す語にすぎない。自治体が要件を満たしているか確認したうえで進める手続きであることを示すために、「登録」「証明」といった語を用いるべきである。

 

③ 証明書の内容とデザイン
証明書の用途は、市の管轄外の施設や機関での使用が主となると思われる(周知までの期間は市の管轄においても使用されることは予想される)ため、以下のとおり実効性を備えた記載内容を示し、使いやすいカードの形にするべき。
 ・通称名による記載に加えて、裏面に戸籍名の記載欄を設ける
 ・岡山市長が登録を認めた旨と、公印
・ 本制度の趣旨
・ 各事業所に夫婦と同様の対応を促す依頼
また、カードのデザインについては、性的マイノリティに対する偏見を助長しないよう、極力シンプルなものが望ましい。

【参考】
 鎌倉市パートナーシップ宣誓書受領証
   https://www.city.kamakura.kanagawa.jp/danjo/documents/youshiki.pdf
 みなとマリアージュカード
   https://www.city.minato.tokyo.jp/jinken/documents/minatomariagecard.pdf

 

④ 制度を補助する支援
市の管轄を離れた社会生活を支援する意味で、二人の共同生活に関する契約書(公正証書など)の作成支援することを提案する。
東京都の渋谷区や港区のパートナーシップ制度では、制度に法的な実効性をもたせるため、二人で交わした共同生活に関する契約書(公正証書など)の提出を必須要件としている。これは私法上の契約にあたるため、法律上の婚姻のように戸籍には影響しないが、一定の法的効力をもつ。しかし、契約書作成は専門的知識がないと難しく経済的負担もかかるので、必須要件とすると、無料でできる異性婚との不平等が際立ってしまう。
そこで、契約書作成を制度利用の必須要件とするのではなく、法的効力をもたない制度の補助支援として、希望者に対して契約書の作成支援を行うことを提案する。具体的には、みなとマリアージュ制度(東京都港区)のような、ダウンロード・編集可能な契約書の標準様式の提供と、相談窓口での対応が望まれる。なお、その場合は法律相談に特化せず、法的な手続き相談以前に、性的マイノリティの方の困難や人権問題に詳しい方が対応するべきである。

 

【参考】
・みなとマリアージュ制度の概要
https://www.city.minato.tokyo.jp/jinken/20200401_mariage.html

・手引き

https://www.city.minato.tokyo.jp/jinken/documents/minatomariagetebiki.pdf

・契約書(標準様式)
https://www.city.minato.tokyo.jp/jinken/documents/1keiyakushosiseiyou.pdf

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