ヨノナカ実習室 実習予告と記録

調理実習や木工実習のように、対話や表現や交流の実習を行う場所「ヨノナカ実習室」の、実習予定や記録をお知らせするページです

「百姓への道」教えて!耕作豊吉先生 ⑮

まずは私の質問から ☟

種苗法とか種子法とか、ラジオでは時々話題になっていたので、

気にはなっているのですが、

日本の農業を守るためには必要な法律だという人もいたり
日本の農業には天下の悪法だという人もいたり
とにかく、よくわかりません。

 

実は他にも、気になることがあります。
先日SDGsと経団連東京大学が発表した報告に、農業の2030年の成長機会は7兆円とありました。技術の「イノベーション」と農業の会社化を大規模に進めるということでしたが、ドローンや自動運転の耕運機で

7兆円の成長機会を想定するシュミレーションと、

1万円のお米を収穫するのに、1万5千円かかるという現実の話を聞くと、

なんだかモヤモヤします。

 

 

http://www.keidanren.or.jp/policy/2020/026_report.pdf 

↑ 資料の全文。p43に載ってます。

全体の概要はこちら ↓

www.keidanren.or.jp

 

 

豊吉先生からのお答え

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種苗法、種子法については、私は知りませんでした。特に種子法の改悪?については。日本中に立派な農学者がたくさんいるのに、また法律の文面はともかく専門的には農林水産省にも優秀な国家公務員がいるはずなのに、なぜ、多くの国民が「うん!なるほど!」という法律ができないのが不思議ですね。

 

 

経団連東京大学のスマート農業7.0兆円の成長機会。

これは、Society5.0の構想ですね。

AIは、ずばり

・適地適作の作目選定

・市場価格と収穫適期

・生育と土壌分析

・温度、水分管理

などに威力を発揮するでしょう。

ドローンは今のところ効果的なのは薬剤散布ぐらいでしょう。

これらスマート農業は確かにある特定の作目や農地では威力を発揮するでしょう。

こうした取り組みがやがて日本の農業者を増やすことにはつながるでしょう。

 

ただ、農業が面白いのは

シャインという学者が提唱するキャリアアンカーの8つのうち7つが揃っているからだと私は考えています。

それは

 

専門性が生かせる仕事であるということ、

純粋に挑戦できることに面白さを感じるということ、

小さくてもトップになって経営ができる、つまり経営者として手腕が発揮できること、

誰にも頼らない、とことん自律できることが、たまらない魅力だということ、

誰かのために奉仕する要素があること、

常に何かを創造できる要素があるということ、

ワーク&ライフバランスがとれるということ、

 

の、まずは7つです。

これに「収入が安定すること」をプラスして、、、、

 

このことを国がほんの少し後押してくれればいいのですが。

 

農水省の統計によると

平成30年の我が国の49歳以下の新規就農者は

約2万人、

そのうち本当の新規自営農業就農者(農業収入が主体で本気耕す人)は

約1万人、

私のような雇用就農者(耕作豊吉のように雇われて耕す人)が

約7千人、

新規参入者(耕さないけど農業に関わる人)

2千人

と報告されています。

 

理想ですが、

就農者には、

国が子どもの学校教育費(大学まで)と、自分も含めて家族の医療を、

無料にしてくれたら、

後はそんなにいらないんですけどね、

私なんかは。

 

海外旅行行かなくてもいいし、

USJにも行かなくてもいいし、

温泉なんか近場でいいし。

そんなにいい服着なくてもいいし、

軽四でいいし、

洒落たレストランで食事せんでいいし、

半地下のツタが感じよく絡まったガーデンの向こうにガラス越しに何とか通りに面したカフェにいかなくていいし、

映画なんかもはやTSUTAYAさえ飛び越えて、テレビの再放送でいいし、

キャンプみたいな生活毎日してるし、

オリンピックに出るほど早く走れないし、

サッカーも野球も、将棋もうまくないから今さらプロにはなれないし。

 

ただ、

子どもたちには、

いろんなものを見せたいし、やらせたいし、

どこへ行ってもいいと言いたいですが。

 

ですから国が

何兆円も予算があるのなら、

トヨタ静岡県裾野市に2000人住まわして作ろうとしているロボットやAIを駆使した未来都市「スマートシティ」のように、

教育と医療だけは、タダ(ゼロ円)の村、「スマートビレッジ」を作って、

どちらがうまくいくか壮大な実験をやってみればおもしろいですね。

 

そして、その募集のポスターの文案は例えばこうです。

 

タイトル

『村民募集』

 求む村民。

至難の生活。

支給されるのは初年度の生活費のみ300万円。

年によっては猛暑・台風・大雨・大雪のことも。

ただし子ども教育(大学卒業まで)と、

村民の医療は無償。

自分の資金でどんな家を建てるのも自由。

老若男女人数を問わず、何人で暮らすことも可。

さらに、代表者含めそれぞれが農業の他に、

いかなる職業(副業)について収入を得ようが自由。

 

最初に希望して得た土地を耕作放棄地にしないこと。

村の一斉清掃には必ず参加すること。

ゴミの分別に協力すること。

村祭りは手伝うこと。

 

 

予算は、7兆円もいらないでしょう。

(真面目に考えないでね)

 

※この求人広告は「南極観測隊員求む」アーネスト・シャクルトンのパクリです。

 

 

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MEN WANTED for Hazardous Journey.
Small wages, bitter cold, long months of complete darkness, constant danger, safe return doubtful.
Honor and recognition in case of success.Ernest Shackleton

 

求む男子。

至難の旅。

僅かな報酬。

極寒。

暗黒の長い日々。

絶えざる危険。

生還の保証無し。

成功の暁には名誉と賞賛を得る。

アーネスト・シャクルトン

 

 

5000人の応募があったと書いてあるサイトもありました

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ここで何かコメントをつけるのは、あまりに蛇足の感が強いのですが、あえて一言だけ

 

本当に、よい先達に教えを乞うたものである

しみじみ

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