ヨノナカ実習室 実習予告と記録

調理実習や木工実習のように、対話や表現や交流の実習を行う場所「ヨノナカ実習室」の、実習予定や記録をお知らせするページです

作文実習の記録「あなたが世界を変える日」

作文の手伝いが、ほんとうに、好きだ。

この人の中には、こんなにもゆたかな言葉があったのだ、と思い知る瞬間が、たまらない。少し嫉妬と憧れを抱きつつ。

 

七月の暑い暑い夕方、自転車で登場した野球少年は、「さわやか」を体現した人だった。

ずばり「本当のことを、堂々と言う」。

こんな人に出会えてうれしいし、彼がどんな作文を書いたり直したりするのか、楽しみで仕方ない。

 

12歳のセヴァンが書いた「あなたが世界を変える日」を読み、優等生的な発言をすることは、むしろ簡単かもしれない。いまどき、ネットを検索すれば、読書感想文の書き方や、実際の本文まで掲載されている。

しかし、彼は、自分が思い出したことや、考えたことだけを書くのだ。セヴァンの本を読まなかったら、こんなこと考えなかったなあ、と思うのだ。彼に出会わなければ、〇〇ゲームがそんなにヒントにあふれていることを私は知らなかったのだ。

ああおもしろい。

 

作文の内容を全くここに書けないのは、残念である。人の作文だから仕方ない。

今回は、文章を書き始める前の下ごしらえの実習であった。だから、本日最後のコメントは「最初をどう書いたらいいんか、わからん」だった。本当のことを書くことになった。

これから文章にしていくのは彼の孤独な営みとなる。がんばれ、と本当に思う。

 

 

私の大切な知人の一人が、面接試験で何度も不合格をもらって、数年ねばって合格した時に教えてくれた。

「今回、はじめて、本当のことを、堂々と言った」

それまでは、自分をよく見せようと必死だった。本当のことだから、かっこわるいことでも堂々と言えた、という。本当のことがいつもベストだとは限らないが、私はこの話に勇気をもらう。

井上ひさしの本にあった、「自分にしか書けないことを、誰にでも伝わるように書く」ことが作文の基本であり極意であるというような内容。意外とそれを読む人は、ああこんなことを私も考えたことがある、と孤独から救われたりする。

虚実定かではないが、私の記憶ではサルトルは作文教師だった。それを聞いて、「社会人」になるには作文教師になるべきだと、思い込んだのは既に四半世紀も昔のことだ。言葉以外の表現に強い魅力を感じながら、言葉のめんどくささに辟易しながらも、この夏も、人の作文を手伝うことに、大げさかもしれないが、生きがいみたいなものを感じている。

 

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セヴァンのスピーチから30年。当時の子どもが、今の大人、自分も含めて。

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ヨノナカ実習室では、作文実習を随時、受け付けています。

夏休みの宿題の作文や、大好きな人に贈るためのラブレター、いまさら謝りづらい誰かへの詫び状、論文やレポート、とにかく考えていることを文章にしてみたい、どうしても書けなくて困っているなどなど、作文についての相談があれば、遠慮なくお知らせください。テンプレートや必勝法はよくわかりませんが、一緒に考えてみましょう。

 

「ヨノナカ実習室」
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