ヨノナカ実習室 実習予告と記録

調理実習や木工実習のように、対話や表現や交流の実習を行う場所「ヨノナカ実習室」の、実習予定や記録をお知らせするページです

「百姓への道」教えて!耕作豊吉先生 ⑭

ベランダで育ててきた朝顔

きれいな花が毎朝咲いて、しぼんで、そのあとは種に

、、、ならないんですけど!

朝顔の実の中身が、黄色いふにゃふにゃで、種じゃない!

 

というお知らせが届きました。

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左が、花が咲いた後の様子だそうです。

おのずと話題は「これがエフワン?」とか、「そういえば種子法ってあったわよね何かよくわかんないけど怖いわね」とかいう展開に進むものの、当然、結論は、豊吉先生に聞いてみよう、に落ち着きました。

 

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1 朝顔のこと

朝顔に種ができない」ことについて質問がありましたが、「朝顔」と「種ができない」で検索するとたくさん答えを教えてくれます。

 

それらを参考にすれば良いと思いますが、その中に「暑くて日差しの強い時期はあまり種ができやすい環境ではないです。受粉のための虫が飛ばない、花粉の量が少なくなるなどが、背景にある。」というのが説得力があるように思いました。

 

それを裏付ける根拠は、植物にとって、

受精はとても繊細なしくみだということです。

 

添付した資料にもあるように、アサガオは、自家受粉する花です。

従っておしべの花粉がめしべの柱頭に付いて受粉が始まります。

その大きさもとても小さく何十マイクロメーターというサイズです。

そして成熟した花粉母細胞(かふんぼさいぼう)の中に

花粉管細胞(かふんかんさいぼう)ができ、

その中に包まれるような格好で雄原細胞(ゆうげんさいぼう)ができます。

この状態でめしべの柱頭にくっつきます。

 

そこで1個の雄原細胞から

2個の精細胞(せいさいぼう)体細胞分裂し、

まず1個は、ぐるっとまわって子房の卵細胞(らんさいぼう)と合体(受精)して、

種のもとになる胚になり、

もう1個も続いて、中央細胞と合体(受精)してはいにゅうになります。

 

[注:読みを示しているのは、専門用語とは時としてルールを無視して重箱読みなんかへっちゃらだからです]

 

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このように2つの受精が同時に起きることで重複受精と言い、この2つの受精に刺激されて子房がどんどん大きくなって、例えばモモやリンゴの実の部分ができます。

アサガオもあの私たちがよく知っている黒い種の部分ができるのです。

 

このめんどうくさい説明はどうでもいいんですが(えー!!)

これらのことが顕微鏡的視野の大きさの中で起きています。

 

だから、たとえばアサガオが、

 

自分にとって、今はまだ「快適ではない気温だ」と判断して、その判断の中で、あの小さな花粉、その中の精細胞と卵細胞の受精が、うまくいかないこともあるのではないかと思われます。

 

この被子植物(発芽の時、子葉が双葉のもの)の受精は、アサガオだけでなく、店頭に並びだしたモモやブドウ、メロンもそうだし、夏の野菜のトマト、キュウリ、ピーマン、ナスあるいは、花屋の店先に並ぶキクやキキョウも、道端に咲いている雑草の花も、サイズや形はそれぞれですが、すべて同じ方法で受精がなされ、ほぼ同様に種が作られます。

 

ということで結論です。お友だちの朝顔になぜ種ができないかですが、

朝顔の花が終わる頃、夏が終わる頃に咲く花から、きっとあの昔私たちが知っている種ができるのではないでしょうか。

 

朝顔は、日が長くなる季節には茎や葉がしげり、

日が短くなり、 夜が一定時間より長くなると花芽ができて花がさく性質があります。

 

このような性質の植物を「短日植物」といい、朝顔はその典型的な植物です。

日が短くなる、すなわちだんだん夜の方が長くなってくると、

花芽分化が起こり花が咲く、そして受精して、種ができるのです。

 

夏至を過ぎてからはどんどん日は短くなっています。

もう少し待ってみてください。

そして、違ったらゴメンなさい。

耕作豊吉

 

【追伸】

今年は日照時間が短いので、十分茎や葉がしげっていないのに、

日だけが短くなったと錯覚して、十分な準備ができていないままに花芽をつけはじめ、それが受精して未熟な「うちの朝顔の実の中身は、黄色いふにゃふにゃで、種じゃない。」になったのかも知れません。

短日植物というのは、

「日が短くなる、これは寒い冬がやがて来る前触れだ。

 それなら、早く花を咲かせ、実を作って、固い種で寒い冬を越そう」

ということで花芽分化を起こすと言われています。

 

、、、としても、少し早いか?

すみません。よくわかりません。

 

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2 予告編

本文なかほどの図は、豊吉先生オリジナル!

完全保存版です!!

ありがとうございます!!!

 

さらに、続く明日、更新予定の内容は、なかなかの読みごたえです。

今、話題になっているSDGsと農業の関係について、たいへん乱暴な質問をしてしまったのですが、豊吉先生のお返事が感動的なものだったので、明日あらためてこちらにアップいたします。これぞまさに「百姓への道」という豊吉先生の言葉に、乞うご期待!!!

 

それにしても、朝顔たちは、日の長さを受け止めてそれに自分の身体で反応して何とか生き延びようとするようです。

時計でしか時間を計れず、エアコンでしか快適さを調節できないことに恐縮しています。

 

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